今回は幼稚園で行っている書道教室での子どもの文字の変化や心境の変化、行動の変化などの実例について紹介をいたします。
筆跡は書いたその時の書くという行動の軌跡です。したがって書いた時の気分も含めた心理や思考、体調の変化によって筆跡は変わります。筆跡シートに表れたその変化の事例①を初回します。
事例① 現在小3・A君の事例
年長時及び小学校1年時頃は落ち着かなく、いつもはしゃいでいて、元気に机の間を走り回ったり、友だちを巻きこんだりして騒いでいました。
その後、小学3年生になり徐々に変化した事例。
図3をご覧ください。年長時ははしゃいでいたときの筆跡です。
それが3年生になり徐々に、はしゃぐ行動が減り、今は書くことに集中するようになり、筆跡シートの文字も変わっていき、罫線からはみ出して書くこともなくしっかりと取り組むようになったのが図4です。
このように筆跡(書かれた文字)には、その時の行動が表れます。疲れているお子さんは弱々しい線や字形が小さくなったり、なかなかはかどらなかったりします。まさに書くという行動と日常の行動は相関するのだと感じています。
この事により子どもの心身の状況を筆跡の変化から読み取ることができて、それに対する言葉かけも変わっていきます。
また、筆跡から子どもの成長の過程が見られるのも楽しみでもあります。バランスの良い字をかけるようになると、その他の行動もバランスの取れたものとなるはずです。
今後も順次、筆跡に関することや変化について気づいたことをご紹介します。
図3(年長時)
図4(小3年時)
幼稚園の習字教室でさまざまな縦線を年長児に書いていただきました。その結果点線の長さや太さ、直線を曲がらずに書けるか等との関係と名前の書き方などから文字との関係を検証中です。幼児は何か月かの違いで発達に大きな差がありますので、一概に遅いや早いなど判断できません。しかし縦の線をしっかり書けているお子さんは文字もしっかり書けていました。図形や線を認識する認知機能が発達していると思われます。今後も横線や図形などいろいろな角度から認知機能との関係を検証していく予定です。もしご協力いただける方がおられましたら、ぜひご協力ください。縦線の練習用紙は本ホームページのお問い合わせの中の「ダウンロード資料」にあります。ご意見等いただけると幸いです。
右側がしっかり見て書く力もついている。もちろん筆ペンなのでその使い方の加減もできている。
日曜日に幼稚園の作品展がありました。年少組・年中組・年長組の粘土での作品、ペーパー陶様々な素材での作品や自画像などの作品がたくさん展示されていました。保護者の方も密を避けて、時間を割り当てられて観覧のようでした。書道教室の年長さんと卒園生の書道と筆ペンの筆跡シートを掲示の一部をお借りして飾らせていただきました。園児の作品をみて回っていたら、廊下の壁や窓、教室の入口・出口に毛筆で書かれた案内などが書かれていました。聞いたら年長さんで書道教室のお子さんが書いたという事でした。のびのびと、楽しく、率先して書いたようで見ていてあきないほのぼのした筆跡でした。
のびのびさが伝わり、楽しくなる文字ですね!
幼稚園の年長から書道を続けてきています。幼稚園年長さんは1か月の違いも大きく、また個人差も大きいので一概には言えないのですが、小学性になると徐々に差が縮まってきます。それでも個人差は大きく影響しますが、今回は小学1年生の2人が硬筆と毛筆の違い、特に毛筆の扱いの弾力を会得したらしく、黙々と集中して半紙に向かっていました。もちろん年長での経験もあって書道教室2年近くなりますが、枚数も6枚、8枚と、普通はせいぜい4枚くらいが平均ですが、筆の穂先をしっかりとみて腕を大きく動かして書いていました。
二人とも「小」の左払いが特に慎重に集中して、書いて満足しているようでした。ハネもよくできています。
年長さんに線の練習三回目です。曲線を主になぞり書をしました。それぞれに運筆の速さ、筆圧の強さなどの個人の違いが筆ペンで書くと如実に反映されます。どれも懸命に書いていて素晴らしいです。毎回毎回の成長過程を楽しみにしています。元気に登園して、元気に挨拶をして帰っていきます。元気をもらっています。また書道を楽しみにしている幼児・児童が増えてうれしく思います。
年長さんの一部です。元のイラストは、お問合せのダウロード資料からダウンロードできます。
図形や線が上手に書ける子どもは文字の上達も早い。
幼稚園では幼稚園教育要領で文字環境は整えても、文字の指導はしなくてよいことになっているが、実際はいろいろな作品になまえを書いたり、保護者も家庭で文字を教えたりしている。すでに兄弟の名前の漢字は書けるよと伝えてくるお子さんもいます。
よくお話しするのは、「文字を書くことも大切ですが、最初は図形や線を楽しく書き、スムーズに自信を持って腕や手・指を自由に効率よく動かす練習をしてください。それにより文字の上達も早いようです。」と、そこで現在様々な試みをしている。幼稚園は来週から新学期で本日はまだ夏休み中ですが2名欠席しただけで24名参加していただきました。保護者の皆さん熱心で送り迎えお疲れ様でした。暑い中、もう頭が下がります。感謝、感謝です。
筆順の大原則は、①上から下へ ②左から右へ である。 このことを繰り返し身につくように指導している。
次の写真は今月18日にその練習用紙に書かれたいくつかです。年長児はすでに、筆の筆圧や速度など個人の特徴が表れていて、楽しい、これから先どのように発達し、変わっていくか楽しみである。幼少期の成長は著しい。
上から順に太く書くようになってます。薄い灰色や緑、空色などで適当に色わけしてあり、その上を筆ペンでなぞり書きします。斜めの線は難しいので途中丸の中に✖印を入れてあります。
使い慣れない毛筆筆ペンで書きました。線の太細、字形の把握等、同じ年でも何か月かの違いが発達の違いに影響していますが、それぞれに、一生懸命書いたものです。それでも書いた軌跡(行動スタイル)が発達途上ですが、感じられます。
*2回書くことで、疲れてあきらめてしまう子、さらに工夫をして手本に近づける子、だんだん文字が小さくなる子、さまざまなちがいがあります。児童は課題は、なぞり書きさせています。「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、3歳までに、すでに基本は備わっているのかも?姉妹の妹の年中(4歳)の幼児も一緒についてきて練習しています。
一緒に研究をしていただける方、または幼児の図形練習を実践したい方は、お問い合わせの資料から、図形練習1をダウンロードしてご利用ください。
今年度はコロナの影響で6月29日(月)と30日(火)の2回、体験教室を行いました。参加希望者が32名ということで、16人ずつ密を避けて実施しました。その結果、年長さんの参加申し込みは26名となりました。7月7日(火)が第1回、筆ペンを利用しての練習です。14日(火)もほぼ同じ内容で、毎回1つくらい新しい内容を入れ替えて指導しています。
今年度から小学校1・2年生の国語科書写の中で軟筆(水書きを行う学校が多いと思われますが)での指導が可能となりました。毛筆の指導は今まで通り小学3年生からです。
水書の便利なところは乾くと何度でも練習でき、しかも水なので墨のように汚れないということです。そこで水書が多く採用されるのではないかと想像します。
私は、すごく柔らかい毛先の筆ペンを選んで指導しています。少し手は汚していますが、書いた跡が紙に残るので、1枚は提出させ、記録しています。
指導内容は、図形のなぞり書きや、様々な線の練習、自分の名前の練習などを行っています。
筆順をできるだけ意識させ、1 左から右へ、2 上から下へ、線を書くよう説明しています。
幼稚園児への指導方針
昨日、体験教室2回目を実施しました。参加希望者が多く、密を避けるために二日間かけて行いました。
体験ですので、硬筆か筆ペンかどちらかを使う予定でしたが、普段使っていないと思われる筆ペン(非常に毛筆に近く柔らかい毛先を選びました)で行いました。以下は説明と指導内容です。
指導方針:
- 毛筆という扱いにくい道具に慣れる。
- 卒園までに自分の名前をしっかり書けるようになること。
- 墨を磨る。(墨液は家庭での練習用);墨をすることは力を使います。年長児には少し大変ですが、自分の磨った墨の濃さを感じ取る。
- すべてにおいて、どれくらいが適当か、どのようにしたら良いかを体験を通して身に付けることを目的としています。
幼稚園児へ
- 書道は丁寧に、落ち着いて書きましょう!(かけっこは早く)
- 背筋を伸ばし、全体を見て書きましょう!(足は地震が来てもすぐ動けるように)
保護者の方へ
8年間の指導から、図形がきちんとかけるお子さんは、文字の上達も早い傾向にあります。文字を教えると同時に、まず図形をしっかり書けるようにしましょう。(幼稚園教育要領では、文字環境は整えますが、文字の指導はしなくてよいことになっています。)
2012年から始めた幼稚園での年長を対象とした書道教室も今年で9年目になります。本日6月29日(月曜日)は午後1時から2時まで、16名参加していただき、今年度の体験会を実施しました。幼稚園書道教室のきっかけは、私の研究のためです。
目的は、
①幼児の筆跡は発達段階でどのように学び、また発達し、どう変化していくのか
②人と異なり書き癖として固まっていない学習段階の幼児・児童の筆跡と行動はどのような関係にあるのか
③毛筆という筆先の柔らかな素材を使いこなすということの効用は何か?を研究することでした。
当時の短大の学長さん、園長さんに協力をいただきはじめたものでです。コロナの影響で1か月以上遅れて初日を迎えました。今日は書壇院役員の細田秋僊先生にも昨年に引き続き協力をいただき、二人で1時間ほど実施しました。